スタッフダイアリー

電子出版EXPOに行ってきました

デジタル出版課の坂井です。

電子書籍業界が大小さまざまな話題を提供する季節、それが7月です。毎年恒例の「電子出版EXPO」という大規模なイベントが今年も7月初旬に東京ビッグサイトで開催されましたので参加してきました。



2014年に電子書籍市場が1000億円を超え、これからも成長が見込まれる分野ということで新規サービスや新たな技術など見ているだけで刺激を受ける展示が多く、ビジネスのチャンスになるものはないかと時間の許す限り会場を隅々まで歩き回ってきました。

今年の特徴としては、同時開催されている東京国際ブックフェアと電子出版EXPOの垣根がどんどんなくなってきたなという印象を受けました。大手の電子書店が国際ブックフェアに出展したり、逆に紙の印刷屋さんが電子書籍のオンデマンド印刷事業で電子出版EXPOに出展したり、出版という大きな括りの中でシームレスになっており過渡期に入ったなという印象です。

個人的には電子書籍分野におけるパイオニア的な企業であるボイジャー・萩野社長のファンなので、スピーチが聞けて大満足でした。1992年から電子書籍に携わってきただけあって、その思想哲学には一本筋が通っています。現在の世界共通ファイル規格であるEPUBが誕生する前、何度も電子出版で挫折しかかったという同社が得た教訓は、そのまま現在の電子書籍に活かされています。

○できるだけシンプルに虚飾を排すこと
○機種に依存することなくどんな環境でも閲覧できること
○世界の共通性に基づきいつまでも残る出版データであること
(会場で無料配布していた小冊子・ボイジャー発行『私自身のための出版』より引用)

萩野社長はこの教訓を「電子書籍における憲法のようなもの」とおっしゃっていました。エムアップは電子書籍を初めてまだ5年程度ですが、この考え方に激しく共感します。

端末の性能によって見られないユーザーが出てきたり、書店のサービス終了によって購入した書籍が見られなくなることなど、あってはいけないのだという極めてフラットな考え方です。そうでなければ、ユーザーにそっぽを向かれて消えていくだけです。

エムアップの電子書籍事業の方向性は間違っていないか? どちらの方向に進むべきなのか? 7月初旬は年に一度、そんなことを自問自答する季節です。