スタッフダイアリー

制作意欲と小話

みなさん、こんにちは!
Creative Plus 制作部の宮原です。

久しぶりにスタッフダイアリーを書かせていただきます!

前回・・・
デザイナーが「テレワーク」でできること

こちらを書いてから、2年と4か月ぶりなのですが、
相変わらずデザイナーとして様々なイラスト制作で、最高を目指し、悩み&楽しみつ活動の日々を過ごしています。

傍から見るとモニターに向かい「イラストを黙々と描いている」のですが、そこには自分だけのドラマやごくたまに少し奇妙な出来事が発生することも・・・





Creative Plusでは多岐にわたるコンテンツを運営・制作していますので、制作する素材も

・IP案件のキャラクター
・背景
・UI
・デザインラフ

等々・・・ 様々な仕事と相対しているのですが、

デザイナー/クリエイターには得意不得意がありまして、
得意なジャンルや工程ならすいすいーっと進められますが、そうでない分野では当然難しい展開が待っていたりします。

苦戦する分、向き合っている時間が長くなったり・どうしようかなと考え込んだりしますが、
そこをどう打開しようかと試行錯誤を頭の中で繰り返しながら、何十何百と引いた線の先で
『これだ!』 というものを描けた際には思わずニヤニヤしてしまいます。
うまく出来た部分を突破口に、今まで難しいと思っていた課題に攻略の筋道が見えた時の興奮はとてつもなくて
他から見れば「そうなんだ」と思われてしまうかもしれませんが、自分の成長した瞬間をダイレクトに体感出来るので、
まるでゲームをクリアしていくような楽しさがあります。

ですので、新しい案件が来た時に、《どう攻略していこうか》 というワクワクした気持ちを強く持ってしまいます。

また得意な方も、かつての不得意から成長出来た成果なので、同じく攻略して先に進もう精神があり、
自分の創意工夫をどう盛り込もうかと没入してしまうときも(笑)


前置きが大変長くなりましたが、今回のお話のテーマは

【没入世界:パース】です。

集中の先にある、何だか分からないけど「珍しい」感覚の話です。
→最近よく聞く【ゾーンに入る】とはまた少し違ったものです。


私個人が体験した事なので、イラスト制作関連になりますが、、

皆さんは パース をご存知でしょうか?

パースとは絵を描く際に使う技術で線遠近法の事です。
ざっくり言えば消失点に向かって小さくなっていくというものです。





学生時代、そのパースの勉強をしていたんですが、
物覚えの悪い私は理屈は学んで理解しても実際に描こうとすると応用が利かずに苦労していました。
悩むほどに覚えた理屈もあやふやになってしまい、しかたなく数をこなして覚えようと、街に出て建造物のある風景のスケッチをくり返しました。


何日か描いていくうちに屋根や壁、塀などの先に消失点をみつけるコツが分かってきました。
調子よく何枚も描いて、さて帰ろうかと立ち上がり、周りを見て驚きました、、


目に映る全ての直線の先に半透明な線が見えたのです。


屋根の稜線の先の空中に線の続きが見えるのです。
横断歩道の線の延長にも地平線まで線が続いて見えるのです。

うわわっ と、あわてて見回すと目に入った物の輪郭に沿って線がじわぁ~っと浮き出て来るのです。
その線は半透明なので歩いている人や車などは貫通しています。

視界にある物の情報量がどんどん増えて行って、空間が線でいっぱいになって
ちょっと気分が悪くなり、、、、という話でした。


次の話は、【没入世界:ドット】です。

私は前職で漫画アシスタントをしていました。
その当時はデジタルで作画するという事が広まるちょっと前の頃で、作業は当然アナログです。

原稿用紙にインクで絵を描くわけです。

アシスタント入りたてでしたので、当然大事な原稿に直接インクで描き込む様な作業はさせて貰えず
消しゴムかけ、スクリーントーン張りが主な作業内容でした。

スクリーントーンとは透明なシートにドットで様々な柄が印刷されている物で、ドットの大きさや密度で濃さの種類があります。
これを切り抜いて原稿に張り、影や特殊効果の表現として使います。





80~90年代の漫画業界はこのスクリーントーンでの表現技術が発達した時期で、
二枚のスクリーントーンのドットを少しだけずらして張ることで見える濃さを変えて
より立体的な影を作ったり、あえてモアレが出来る様に張ったり、カッターで削り効果を付けたりと細かい絵作りが流行でした。

という訳で、新人の私が最初に習ったのはスクリーントーンを正確に張り、規則正しい角度で削る事でした。

ドットは基本縦横に正確に並んでいます。それを原稿用紙の縦横に対して同じになるように張ります。
印刷された時に綺麗に見える様にです。

また、ドットをカッターで削ってぼかしを作る際も綺麗に見える削り角度がありまして、
ドットの斜めの並び、基本45°に対して12.5°で削りを入れるとドットの欠け方が綺麗に見えるのです。
と、まぁ何のこっちゃな事を書いていますが、それ位細かい作業が要求されていたのです。


一日中ドットとにらめっこをして切り張りしていたら、二日目に違和感が・・・

原稿から目を離し、壁を見たらそこにドットがありました。

え?

と思い、周りを見てもドット、ドット、ドット、、、

自分の手にもドット状に黒い半透明な点々が規則正しく並んでいます。
スタッフの顔にも浮かんでいて、集合体恐怖症になりそうな体験でした(笑)


どちらの体験も少し休んだ後には見えなくなり、その後どんなに集中しても見ることは有りません。
私の脳の錯覚だと言われればそうかもしれませんが、集中状態と初体験が重なった時に起こる何かしらなのかなと思っています。

皆さんにはこういった集中時の体験はありますか?
なかなか無いとは思いますが(汗)


イラスト制作で「集中」して「最高」を目指していると、少し奇妙な状態になってしまったという小話でした!